上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト / SPARK 

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感想文を提出いたします。


上原ひろみさんの新譜『SPARK』聴きました。

the trio project スタートから丸5年、4作目。

誤解を恐れずに書いてしまうなら
今までに無い新しいものが来たという驚きは無い。

ただ、ここで言う「驚き」は『SPIRAL』を初めて聴いた時や
その直後のプロジェクト Hiromi's Sonicbloom の
出現のような種類の「驚き」という意味。

個人的にこの the trio project で
その種の驚きがあったのは『MOVE』の時。

理由は明白で『VOICE』では当て書きされた
楽曲といえどやはり先に曲があったハズ。
それが『VOICE』の楽曲を引っさげて回ったツアーを経て
3人での関わり、バンドの姿が見えて
真の当て書きされた楽曲になった事で
『MOVE』では同じメンバーでの作品なのに
全く違ったテイストのアルバムが出現したような驚きがあった。

その時点でこのバンドが目指す方向性、
スタイル・カラーは見えているので
新作が全く違った印象の作品になる必要はない。と思う。


しかし前述の意味での「驚き」は無いが
このバンドは確実に進化し、深化している。
という別の種類の驚きがある。

この the trio project のスタイル、
結成時から感じてきた魅力はなんといっても
複雑な曲をポップに聴かせるという事。

その意味において『SPARK』は
これまでにあった楽曲達より複雑な仕掛けをもっているのに
これまで以上にPOPで親しみのある楽曲が詰め込まれている。

この辺はもしかしたら好みの分かれる所かもしれませんが
キャッチーなメロディラインがふんだんに盛り込まれている事で
各楽曲のテーマが耳に残り聞き終わっても脳内をかけめぐる。

そして恐ろしいのはその耳に残るキャッチーなメロディラインが
複雑なリズム、構成と共存し、またその事を意識させないという事。

ボクは楽譜を読めない素人ですがその複雑さは感じる事ができますし
実際、各種のインタビューではアンソニー、サイモン共に
新譜が出る毎に「今回の方がハードなチャレンジ」という旨語っている。

新作毎に常に複雑・難解になり続けているバンドの最新作が
最もPOPに感じる作品として産まれたという事は「驚き」である。

コンポーザーとしての上原ひろみさんの魅力の一つに
バンドをオケに見立てるようなオーケストレーションがある。
バンド全体で一つの楽曲を歌う編曲は見事で
どのパートも必要不可欠な関わりを持っている。

もちろん本作でもその魅力は十分に発揮されているが
サイモンがメロディを歌う楽曲やオープンソロ的な長いソロ、
アンソニーがメインのテーマを歌う楽曲など
これまで以上に2人の魅力を前面に押し出しているように感じる。


これらは『MOVE』以降、
世界を飛び回りライブを繰り返す事で積まれた経験から

よりメンバーを活かす楽曲が作られ、
その楽曲をライブで進化させて
そこで産まれた関係性を活かした楽曲が作られ
その楽曲をライブで進化させて…

というスパイラルを5年間繰り返して来た結果の「今」
その瞬間をとらえたミラクルなのではないか。

そんな風におもえてしまう。


いつかこのブログで書いた記憶があるけれど
レジェンドプレーヤーである2人が『VOICE』の時点で
複数年契約をしていたとは考えづらい。
世界を飛び回るハードなツアーを繰り返し
それでもなお5年続いて来たという事は
アンソニー、サイモンとも自身のキャリアを
費やす価値のあるプロジェクトと
考えているのではないだろうか。

世界トップレベルのテクニックとアイディアを持った
アンソニー、サイモンとのこの超絶トリオは
組んだ瞬間から唯一無二のバンドであった。

そのバンドが一つずつライブを積み重ねた5年の歳月を経て
進化・深化した今の状況はまさにミラクルなのだと思う。

そしてその奇跡は今もまだ続いている。

上原ひろみさんのキャリアで最長のプロジェクトである
このバンドが『SPARK』の楽曲達を引っさげて世界を巡り
さらに進化・深化した演奏が聴ける日を心待ちにしたい。

もちろん5作目が作られるのであればウエルカムである。

今最も体感すべきバンドだし、可能な限り続いて欲しい。

そんな風に思いました。

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コメント

初めまして

初めまして。毎回記事を楽しみにしています。新作はキャッチーでなおかつ深いと思います。すんなりと入っていけるんですよね。このトリオは奇跡だと思います。個人的には『Love And Laughter』でベタ惚れして『Voice』で本格的にファンとなりました。正直な話、こんなピアノは今まで聴いたことがありません。現代最高峰のアーティストの一人だと思います。そして管理人さんの文章も読みやすくて深いと思います。ひろみさんの音楽と似ていますね。笑

ゲキソクさん
どもどもです!過疎ブログへのご来訪・コメントありがとうございます。

ほんとにこのトリオは素晴らしいですよね。
新譜にしてもライブでのパフォーマンスにしても
5年の積み重ねが見事に結実していく様子を
目の当たりにしているみたいで感動してしまいます。

上原ひろみさんのファンとしては新たなプロジェクトへの期待も
もちろんあるんですが積み上げた時間の分進化する
このバンドは今しか出来ない事だと思うので
上原さんがやりきったと感じる所まで続いて欲しいですね。

今後も素人感想をチョコチョコ書いていきますので
お暇な時にでもチラ見していただけたらウレシイです!

ではではぁ〜

毎回新作が大好きなことに変わりはないのですが
今回のアルバムもかなり気に入ってしまい
絶賛聴き込み中です。
仰る通り、ゴリゴリの変拍子を意識させない上に
メロディーラインが耳に残るので、
今まで以上に音楽そのものが味わえている気分です。
早くもツアーが待ち遠しいです!

yasuさん
どもどもです!

ボクも絶賛ヘビロテ中です。
年末のBNTの時点で好みなのはわかっていたんですが
CDでジックリ聴いてみると想像以上にスキ過ぎて困りますw

ボクは割りとソリッドな感じの曲が好きな傾向があるんですが
アルバム全体を通してメロディックな印象なのに
それまでのソリッドな感触を失っていないのがスゴイです。

はやくライブ観たいっすねぇ。

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